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2007/07/04 (Wed) 『くるり/ワルツを踊れ Tanz Walzer』('07)

ワルツを踊れ Tanz Walzer ワルツを踊れ Tanz Walzer
くるり (2007/06/27)
Viictor Entertainment,Inc.(V)(M)
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くるりって、「ポップ」でありながら「歪」、っていうそこが持ち味なのだと思うけど、個人的にはその「歪」の部分はあんまり好きではなかった。

ヒネリがないけど、“ばらの花”とか“ワールズエンド・スーパーノヴァ”とか“ハイウェイ”とか“赤い電車”とか、くるりの中でもポップに振り切れた作品が抜きん出て好きだったし、そういう意味ではくるりの本当の良さはわかっていなかったとも言える。
だから、THE WHOを始めとする60年代UKロックからの影響をモロに出して、ポップ側に振れた前作『NIKKI』はとても好きだった(…でも聴いてく内に何処か物足りなさを感じたのも事実なんだけど…)。

そして、クラシックの影響を受けたと言われる今作。ライナーノーツで山崎洋一郎がロック評論的に「メロディ」という観点からそれについて言っているけど、僕は単純に、岸田繁の「音楽理論」を重視する部分が、その最たるクラシック音楽に向かわせたように感じた。
例えば、その昔、岸田氏がロッキングオン・ジャパンで「音楽評論家はメジャーコード、マイナーコードくらいは最低限わかっているべきだ。感覚的な物言いだけではプロじゃない。」といった話をしていたのがとても印象的だったけど、そういった音楽理論志向の辿り着いた場所が今作のように思う。(矢野顕子さんに信頼されるのも、きっと岸田氏のそういった志向に対する信頼の部分が大きいのではないかしらん。)
クラシック音楽の譜面の様に、秩序の中に広がる美しさ、そういう音楽を作りたかったのではないかと思う。

でも、思うにくるりの持ち味とされる「歪さ」って、音楽理論じゃ割切れない、理屈を越えた、言ってみれば「業」の様な部分から生まれていた様に思われる。だからこそ、くるりの作品って、理屈を主とする「ポップ」と、非理屈を主とする「歪」とが混ざりきらず、何となく引き裂かれている様な印象をもたらしていたのではなかろうか。
でも、この『ワルツを踊れ』という作品は、クラシック音楽の手を借りることで、その「歪さ」を音楽理論的に初めて表現できた作品であるように思う。
それ故、「ポップ」と「歪」とが全くぶつかっておらず、完全に一つになっている。違う属性のものが一つになることで、独特のサイケデリック感覚も生まれている。変拍子もプログレ的な展開も奇妙なメロディも、それら全ての歪さがとても美しい。間違いなくくるりの最高傑作だと思います。
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