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2007/03/05 (Mon) 『ART-SCHOOL/Flora』('07)

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ART-SCHOOL (2007/02/28)
ポニーキャニオン
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“Beautiful Monster”の最初のベースラインだけで、早速泣きそうになる…。その幕開けだけでこのアルバムがこれまでとは違う感触を持った、とても優しく温かいものだとわかる。

木下氏はこのアルバムに対して「透明」や「ノスタルジック」という言葉を用いていたけど、本当にそんな作品ですね。とりあえず、露悪的で捨鉢な表現の時期は終えたのかもしれない。
少なくともこの作品には以前のような捨鉢な雰囲気はない。過去を見る目は慈しむ様な優しさと温かさに満ちて、現在を見る目には、欠落感を抱えたありのままの自身への、とても穏やかな肯定があるように思う。

“くだんねぇオレだって くだんねぇ君だって/白鳥になれそうな ただそんな気がするんだ”(“Beautiful Monster”)

そんな木下氏の言葉と同じく、音楽的にも全体的に何処か柔らかな光を感じる音。とても綺麗なシンセの音とか、全体的に丸みを帯びた音像とか、益子氏の功績による部分は間違いなく大きいと思うけど、明かにこれまでの作品とは質感が違うし、とても新鮮。

印象的だった曲について触れてみます。
“Nowhere land”は“その指で”に続くアート流ファンクソング。アート流ファンクと益子氏とのプロデュースとの相性はメチャクチャ良い。ホント、考えられないほど良いと思う。
“影待ち”は驚いた。こういうAOR的な質感の曲とかアートにはなかったので。すごく好きです。
“アダージョ”は、“欲望の翼”系のアート節な曲なのに、それとは違って包む様な優しさがある。歌詞が“You can shine it”だもの…。
“Piano”。この曲の三拍子にもたまげた。セピアな雰囲気も新鮮。

そして、ソロ時代の曲を取り上げた事で話題の“SWAN DIVE”。このアルバムに溶け込んでる、なんてもんじゃなく、このアルバムを象徴する様な、過ぎ去りし日々への優しい慈しみに溢れる曲。きっとこの曲を今演る事にはとても必然性があるんだと思う。…何て言うかさ、この曲をこんな風に奏でられるこのアルバムこそ、本当の意味で“レクイエム・フォー・イノセンス”だという気もする。とても優しいイノセンスへの鎮魂歌。

“IN THE BLUE”はこのアルバムのハイライト的な一曲。歌詞カードには曲中では歌われない詩が記されている。
“いつか汚れた そんな時には/話してくれないか かつてオレには/感情があって 君を愛したと/君を愛したと/君を愛したと”
ブルーの風景が眼前に広がる様な轟音の中、連呼される“I miss the girl”という言葉。その言葉の余白にそんな歌われない詩の存在を感じ、本っ当にグッと来る…。とても美しくドラマチック。

そして、もう良い意味で最高に笑っちゃうのが、“THIS IS YOUR MUSIC”!!「パッパ、パラパパー」ってパパパ・コーラスをやる木下氏!!
“穴が空いた身体抱いて 何処までも行けるような/腐りきったオレのままで 何処までも飛べるような”という歌詞に乗って、チョウチョみたいに沸き立ち昇るシーケンス。思わず気持ちが温度を帯びて、本当に飛べるような気持ちになりますよ…。ライブで聴きたいなあ…。

あと、今回忘れちゃいけないのが、前半の最後とアルバムの最後っていう、大事な箇所に置かれた戸高氏の手による二曲。
シングルのカップリングになった二曲とも雰囲気が違って、インディポップ的なかわいらしく親密な雰囲気の二曲で(…“Mary Barker”はくるりの“Birthday”とかホーフツとしますね)、このアルバムにとても大事な彩りを添えてる。この二曲がなかったら、絶対アルバムの印象違うよな。本当に重要な二曲だと思います。

…という訳で、本当に素晴らしいアルバムだけど、一つだけ、“THIS IS~”と“Low heaven”との間に“光と身体”が挟まれるのは、ちょっと違和感がある…。

あと、初回のDVD。個人的には“Missing”のメイキングがやっぱり興味深かったし一番面白かった。
オンリーDVDバージョンと元々のPVとの違いはちゃんと見比べてないし、あんまりよくわからなかったんだけど、確か、元々の“テュペロ・ハニー”のPVにはKEE氏がトイレでキノコを食ってるシーンとかはなかったはず。“SWAN DIVE”は明かにまぐわいが濃厚ですね…。“フリージア”の違いはよくわかりませんでした。ハハハ。
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