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2006/03/27 (Mon) 『大江千里/home at last~Senri Sings Senri~』('03)

home at last~Senri Sings Senri~home at last~Senri Sings Senri~
(2003/12/03)
大江千里

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大江千里氏の、人に提供した曲のセルフカバーアルバム。2003年の作品。
数年前千里氏がレイディオにゲスト出演していた際に聴いた、“しずく”と“太陽がいっぱい”の良さが忘れられずにその後購入。

先ずやはり、この作品における千里氏の歌声のボロボロ具合は、触れる事を避けられないと思う…。以前の様な声を出そうとするせいかしらん、過剰に鼻にかかった声。それを無理矢理振り絞るのだけど声が出ず、U-REIの如く震える様な声は、贔屓目、…じゃなくて贔屓耳に聴いても、どうしても耳障りに感じられたりもする。贔屓耳でない人が聴いたら…、と思うと、何だか勝手に申し訳なくなってしまう様な、そんな歌声。

「だけど」、なのだ。そんな声も含めて、とても良い作品なのだ、これが。

灰色のジャケットが象徴するのかしないのか、全体的にクラ~い、重~い、モワ~っとした音。セルフカバーアルバムという作品の特性からして、これまでの活動を記念する祭典の様な作品でありそうなものなのに、その様な雰囲気は全くない。寧ろ、表現者として一回り大きくなった大江千里が、人に提供した曲を自分が演奏し歌う必然性を持たせるために、本気でがっぷり四つで曲に取組んでいるという感じがある。この作品を覆うシリアスな重さは、その様な本気さ故のものなのではないかなと思う。
アレンジが実に幅広く、ロック的なノリから、ポップス、ジャズ、弾き語り、果ては何と、ダブまで。その全てがモワ~ンとした暗さで一貫している。個人的には、以前紹介した“クラックポット”というバンドをちょっと彷彿させるものがあると思った。あと、フィッシュマンズがちょっとよぎる瞬間とかもあった。大江千里作品で、フィッシュマンズとは、不思議なものだけど…。

“太陽がいっぱい”とか良いな~、「太陽」が全くなくて、…ハハハ。それにしても、この斜陽感は何なのだ…。でもそれがとても良い塩梅なんです。
あと、“10years”。渡辺美里氏による原曲は本当に名曲。これがまた原曲を良い具合にぶち壊しておりますな…。千里氏の歌がメロディーもぶち壊し…。ラスト近くで轟きのごとくバカスカするドラムで静寂をぶち壊し…。でもでも悪くないのだ、これが。イントロのピアノとかさ…。聴けば聴くほど良い。弾き語りの“しずく”は本当に素晴らしい。
さっきから「良い」とか何となくの事しか言ってないな…。いや、何が良いってこの重~い雰囲気が結構ツボなんです…。ハッハッハ…、と言って、笑ってごまかしときまする。

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音盤雑記(邦)2000- | trackback(0) | comment(6) | 21:48 |


2006/03/24 (Fri) 『大江慎也/THE GREATEST MUSIC』('06)

the greatest music記そう記そうと思いながらも、自分自身にとって非常に重要な意味を持つ作品などに関しては、筆不精ならぬ鍵盤不精になってしまう小生。延び延びになってしまっていたものの、やっぱり“大江慎也『THE GREATEST MUSIC』トラックバックキャンペーン”が行われている期間内にこの作品について記しておきたいと思ったのあります。(オフィシャルサイト

まず、以前も書きましたが、大江慎也に関しては敬称を付けない事が僕にとっての敬称だと思うので、あえて「大江」と呼ばせて頂きたいのでゲス。YAROU声で「おおえー」と叫ばせて頂きたいのでゲス。

そんな前置きはさて置き・玉置・駿河湾沖、『THE GREATEST MUSIC』。
大江慎也が初期ルースターズのメンバーと制作したアルバム、と聞いて期待しない方が無理でございましょう。しかも、アルバム発売前からビデオ配信されていた“GO FOR THE PARTY”。この曲を聴き、そして針の振り切れた大江を見て、期待は爆発。ズビズバ耳に入ってくる歌詞に、涙腺のダムは決壊。

“世界と宇宙が俺の足もとでひざまずく そんな思いをした次の朝は苦しい夢を見た たまらずに飛び起た 俺にとっては生きることが エキサイティングだと思った”。(“GO FOR THE PARTY”)

本当に「大江に言われたら…」ですよ…、これは。『THE GREATEST MUSIC』の曲ではないけど、2004年にリリースされたUNの『KNEW BUT DID NOT KNOW』に収録されている“THEME”の歌詞もそうだった。英詞にはさまれる一握の日本語詞。

“この世も捨てたものじゃないし 俺も捨てたものじゃないさ”(“THEME”)

この言葉を大江に言われたら、厭世癖がついている自分の小ささに気付かされ、生きるしかない、生きよう、と心から思う。大江の言葉の重みは、胸や頭そして身体全体を覆いつくし、内側から生への意思を押し上げてくれる。

「テキスト主義」だったかしら(追記:…じゃなくて、「テクスト論」だった)、作者の人物像といった言葉の背景にある要素を敢えて分析の対象から外して、そこに書かれた言葉のみを捉える、という流派。そういう流派もあって然るべきだと思うけど、当然の事ながら、言葉はそれを語る人の背景によって、天と地ほども重さが違う。例えば“Everythig Gonna Be Alright”という言葉はボブ・マーリィという存在から発せられるからこそ、心を揺り動かす強固な言葉として響くのだし、大江の言葉も大江の口から発せられるからこそ、僕(ら)にとってとても強く重く深いものとなる。

“君は俺に力をくれる 俺は君に力を伝える”
“君をリードしたい 君を連れて行きたい”
(“I DREAM”)

ここで言われている「君」とは、いや、この作品の中で歌われている「君」の全てがルースターズのメンバーを示していると勝手に捉えさせて頂いております…。そして勝手に涙腺のダムを決壊させておる次第です。人と人とが繋がる事でもたらされる光が、そのとても純粋な光が、大江の詩のある一つの側面としてとても強く感じられるし、大江・花田・井上・池畑という4人による演奏自体に、そういう関係のもたらす純粋な光を見出さずにはおられない。

…って、肝心な演奏について何も触れていなかった…。
大江のボーカルは本当にこちらの想像を超える力強さ。本当に戻ってきてくれたのだと思わずにはおられない。そして演奏は初期ルースターズのあの感じなのだ、…と言うと語弊があるかもしれない。勿論、そこから25年以上を経た男たちによる完全に2006年の音であって、初期ルースターズの音とは違う訳だけど、大江のボーカル、やさぐれたギター、上へ下へとうねるベース、前のめりの鋭いドラム、そのアンサンブルは確かにあの4人が演奏していると物凄く感じられる音なのだ。あるべき部分にあるべきものがあるという4ピースの完全なパズル。20年以上を経て、再現されたジグソウパズル。
大江慎也は伝説の中だけに生きる人なんかではなかった。

音盤雑記(邦)2000- | trackback(0) | comment(0) | 20:44 |


2006/03/21 (Tue) 『矢野顕子/はじめてのやのあきこ』

はじめてのやのあきこ はじめてのやのあきこ
矢野顕子、槇原敬之 他 (2006/03/08)
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
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記念すべき矢野顕子さんの三十周年記念盤『はじめてのやのあきこ』について、一曲ずつ思った事なんぞを記しておきたいと思いますです。「記念すべき記念盤」という言い方も「記念」が重なっていて妙ではあるものの、それほど記念すべき記念という事で。

1.自転車でおいで(槇原敬之)
もともとは、佐野元春氏とのデュエットだったこの曲。
…うん、勿論素晴らしい。でもマッキーとの共演という事で、以前マッキーがアレンジをした“クリームシチュー”の様な化学反応を期待してしまって、ちょっとこちらの期待が大きすぎたところはあるかな…。マッキーが歌うという事の必然性があんまり感じられなかったんだな…。
でもでも、繰り返しますが、素晴らしい事は間違いありません。

2.中央線(小田和正)
矢野さんバージョンも、勿論THE BOOMの原曲も、日本音楽史に絶対に残る、絶対に残らなければいけない超名曲。日本語で作られた完璧な、過言ではなく本当に完璧な一曲“中央線”。
以前、テレビ番組で小田和正氏がこの曲をカバーしていたのを聴いた時も思ったのだけども、この曲、小田氏には合わないと思う…。小田氏はこの曲を非常に好んでいるみたいだけど…。小田和正氏の音楽は嫌いではないし、本当に良い声だとも思う。しかし、…小田氏の声ではないのだ、この曲は。
歌が流麗過ぎるせいか、この曲の切なく胸を締め付ける様な優しさが半減してしまっている…。間奏のピアノのあまりの優しさにやっぱり泣いてしまうんだけど…、ははは(泣)。

3.PRESTO(Solo)
こんな素晴らしい曲を生み出して下さった事に感謝するばかり…。悲しみや絶望といった負の感情をしっかりと抱えたままで、強い視線で前を見据えるような意志を感じるピアノ。こんな気持ちにさせてくれるのは矢野さんの音楽だけです…。

4.ごはんができたよ(YUKI)
言わずと知れた超名曲。矢野さんが楽しそうに演奏していて良いですな。…でもYUKI氏の歌い方の過剰さが気になってしまう…。全ての人の上に同じ様に夜が訪れるという、この曲のあまりに素晴らしい荘厳なシーンはYUKI氏の声では描ききれないと思った…。でも本当に楽しそうで良いと思います。

5.架空の星座(井上陽水)
新曲、そして新たなる名曲。矢野さんと陽水氏の声の相性も本当に良いと思う。6曲目の忌野氏とのデュエットもそうだけど、古くからお互いを知る者にしかできない表現の深みを感じます…。
矢野さんによる切ない旋律は勿論、タイトルを含め陽水氏による歌詞も本当に素晴らしい…。
“夏の空 冬の夜 架空の星座 永遠の夢 あとは あなたと 出会ったら あなたと 出会ったら”
何か、矢野さんと陽水氏が電話をしている時に曲を作ろうという話になって、電話を切って少しの後すぐに矢野さんのもとに歌詞がFAXで送られてきたという話だけど…。いかにも陽水氏らしさを感じる素っ頓狂な良いエピソードだけども、陽水氏はその場ですぐにこの詩を書いたのかしら…。だとしたら、スゴい…、ホント。

6.ひとつだけ(忌野清志郎)
オフィシャルサイトのこのアルバムのページにある、忌野氏のコメントが本当に良いんです…。(オフィシャルサイト
お互いがお互いの音楽性さらには人間性をちゃんと理解し合っている上に、その音楽性を咀嚼し批評的に解釈できている、そんな人同士でなければできない素晴らしい共演。「これほどの共演は他にはない」と言っても過言ではないほどの、最高の共演。はー、あまりに不純なものが一切なくて、美しくて、思わずため息と涙が同時に出てきちゃう…。“君の心の「黒い」扉”って…(原曲では“あなたの心の白い扉”)、ははは(感涙)。

7.そこのアイロンに告ぐ(上原ひろみ)
上原氏がこの曲を選曲して、ピアノ2台用の編曲もしたとの事。
両者のピアノの技術の凄さに非常に驚きつつも…、…何て言うか、矢野さんのピアノが様々な感情や感覚を包含した「空気」を発生させるものだとして、その「空気」の根底には勿論、トンでもなく凄まじい「技術」がある訳なのだけど、その関係は常に「空気>技術」であって、「技術」が「空気」を超える事は矢野さんの音楽においては全くないと思うんです。
でもこの曲においてはちょっと「技術>空気」なっている気がする。いや、それはそれで面白いのだけど、矢野さんの音楽に感じる「面白さ」とは違ったアクロバティックな技術(多分、特に上原氏よるもの)の面白さであって、そんな技術を楽しむ曲だな、と思った訳です。

単純に作品として捉えた時に、ダントツで素晴らしいのは3曲目、5曲目、6曲目。
この3曲はホント、涙なくしては聴けません…。
それにしても長文になってしまった…。

音盤雑記(邦)2000- | trackback(0) | comment(8) | 15:58 |


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